今回は、年収と幸福度の関係についての話です。
いくら年収を稼げば幸福になれるのか?ということについて考察したいと思います。
こんな方におすすめ
- 年収を上げたいと思っている
- 年収と幸福度の関係を知りたい
- 目標の年収について考えたい
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Contents
年収と幸福度の関係は?
年収と幸福度の関係については、過去に話題になった研究や論文が日本や海外にいくつかあります。
ニュースなどでも比較的引用されたことが多いものとしては、2014年に内閣府から発表された「人々の幸福感と所得について」というレポートがありますので、まずはそれについて簡単に紹介したいと思います。
このレポートの1ページ目に早速、世帯年収が高いほど幸福感が高くなる傾向があるという結論が書かれていますが、この図を見てみると大きな変節点が2箇所あることが見てとれます。
【1】年収400万円~600万円
【2】年収1000万円~1200万円
ものすごく大雑把に傾向を見てみると、下記のようなことが見えてきます。
メモ
・年収400万~600万円までは年収と比例して幸福感も上昇する
・年収600万~年収1000万円位までは幸福度はあまり変わらない
⇒【年収停滞期①】
・年収1000万円~1200万円で大きく幸福度の上昇が見られる
・年収1000万円~1200万円が幸福度のピークであり、それ以上年収が上がっても幸福度が上がらない
⇒【年収停滞期②】
海外にも類似の研究はいくつかありますが、年収が高いほど幸福感が高くなる傾向にあるものの、年収が上がれば上がるほど幸福感も高くなり続けるものではない、というのは古今東西似たような結論が出ているようです。
年収は幸福度に影響を与えるが、年収が一定レベルに達すると幸福度に影響を与えなくなるということに注目です
年収と幸福度のリアル事例
ここまでは客観的なデータに基づく統計結果ですが、私のリアルな事例についても紹介していきたいと思います。
私は20代の頃に300万~400万円、30代前半で年収500万~800万、30代後半の今は年収1000万~1200万と、転職を繰り返しながら比較的幅広い年収レンジを経験しています。
実はこの経験は、意外と珍しいのではないかと思っています。
・幅広い年収レンジを経験している
・それぞれのレンジでそれなりの期間を過ごしている
・年収について、見通しがたったことが少ない
年収について見通しがたったことが少ない、というのは、私が転職を繰り返しているためです。
公務員や日系の大手企業の場合、若い時は年収が低くても将来的には高い年収が獲得できる見通しが立っていることがあります。
仮に年収が同じ500万円でも、将来1000万円になることがわかっている人と、将来どうなるかわからない人(≒このまま何もしなければ1000万円に到達することはまずない)という状態は、実際の心境はかなり異なるでしょう。
幸福度に大きく影響を与えた年齢とは?
私自身の年収と幸福度について振り返ってみると、実は内閣府の調査とかなりシンクロしています。
もう少し具体的にお伝えすると、私の場合、幸福度に大きく影響を与えたタイミングが3つあります。
ポイント
① 412万円
② 600万円
③ 1000万円
先ほどの内閣府の調査結果とかなりシンクロしていますが、それぞれの年収は、①全国の平均年収、②東京都の平均年収、③父親の年収となっています。
幸福度に影響を与えるものとは?
再び、内閣府の調査を見てみると、何が幸福感の判断材料になっているのかの調査結果も公表されています。
幸福感を判断する際に重視する基準としては、自分の理想との比較や将来への期待・不安が挙げられる。
私自身の経験に照らし合わせても、この結果には非常に納得感があります。
平均年収と父親の年収は、私の中でベンチマークと設定されて、半ば無意識に「目標の年収=自分の理想」となっていたように思います。
・平均年収を超えれば、とりあえず将来贅沢はしなければそれなりに生きて行けるだろう
・父親の年収を超えれば、自分の子供の頃の生活水準をキープできるだろう
ということを考えていた背景にあったのは、「将来への不安」です。
特に中小企業で300万円代で年収が伸び悩んでいた5年間位は、他の企業で順調に年収を上げていっている友人たちを見ながら、自分だけ取り残されているような不安に駆られていたことを覚えています。

第一目標は平均年収
私は大学を卒業した当初は「年収はあとから付いてくるもので、今は能力を上げるべきだ」ということを信じていました。
そのため、社会人3年目位までは年収が上がっていないことをそこまで気にしていませんでした。
しかし、社会人4年目を経過したことから「おかしいぞ」と思い始めます。
というのも、取引先や周囲の友人を観察していると、どんどん年収の差が拡大していることに気がついたのです。
その頃、私は初めて「平均年収」を検索で調べることになります。
当時の平均年収は400万円代でした。
一方、私の当時の年収は300万円台。
強い危機感を持ったことを覚えています。
それと同時に、まずは平均年収を超えることが私の直近の目標となりました。

平均年収を超えて変わったこと
平均年収を突破して、生活レベルで変わったことは実はあまりありません。
東京都内にひとり暮らしをしていたこともあり、年収400万円では優雅に暮らせるようなことはありませんでした。
そのため、平均年収を突破したことで小さな達成感はありましたが、将来の年収や生活に対する危機感の方が強かったことを覚えています。
平均年収を超えて嬉しかった反面、給料の上がり方の遅さには大きな不安を感じていました。
第二目標は年収600万円
平均年収は日本全体の平均年収であり、当然都道府県によって平均年収は大きく異なります。
私が当時住んでいたのは東京都。
全国の中でも最も高い年収水準であり、調べて見ると東京都の平均年収は約600万円とのことでした。
また、早くに結婚し2人の子供がいる友人と飲んだ時に、「30歳で600万円位ないと生活が厳しい」と言われたことを今でもハッキリと覚えています。
年収600万円というのは決して少ない金額ではありません。
私自身が年収について数年間悩んでいたのでよくわかります。
飲み会での何気ない一言だったのですが、600万円がその時は非常に遠く感じ、絶望に近い感情を覚えました。
やはり、価値観や生活レベルが近い友人の一言は、統計データより個人的に大きな影響を与えるものがあります。

目標年収を設定すると行動が変わる
年収目標を600万円と設定したあと、今の会社にいて年収600万を超えるにはどれくらいかかるのか、またそれがどれくらいの難易度なのかを、初めて真剣に考えるようになりました。
つまり、転職しない場合の年収シミュレーションを初めて真剣に実施しました。
周囲の年長者の現時点での年収、そして賃金上昇カーブなどについて情報収集をした結果、この会社にいても年収600万円を超えるのは40歳以降、どんなに超パフォーマンスを上げても35歳位が限界ではないかという結論に至りました。
このときに、今までとぼんやり思っていたことが明確になった瞬間でした。
年収は能力よりも、業界や企業によって決まる
これは転職を繰り返しながら、年収アップを実現してきた私が皆さんに一番伝えたいことでもあります。
私は今でこそ年収が1200万円を超えていますが、年収が上がった一番の理由は能力が上がったからではありません。
年収が高い会社に転職したから年収が上がったというのが、真実に近いと思います。

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ポジティブシンキングの副作用
話を当時の私に戻します。
私は自己啓発本や成功者の自伝のようなものが好きだったせいもあり、過度に「情熱」「やる気」などの精神論を重視し過ぎていました。
・人間に限界はない
・できないと思ったら、できない
・可能性を信じれば、必ず道は拓ける
もちろん、ポジティブシンキングはいいことですが、重要なのはそのバランスです。
当時の私は精神論を過信しており、現実的なシミュレーションや確率論を無視していました。
現実的なシミュレーションや確率論を考えることは、その時点で負け犬の発想であり、成せることも成せなくなる、というようなことを思っていたように思います。
過度なポジティブシンキングには要注意です。
転職で年収600万円を達成
具体的に年収600万円という目標を設定することで、現状を冷静に分析するようになりました。
結果として、現実的に600万円の年収を30歳までに突破するためには、”転職をする”ことが最も近道だと判断しました。
転職エージェントに行くと「今の年齢ならまだ間に合いますよ」と、30歳までに年収600万円超を期待できるような案件を紹介してもらうことができ、実際に年収550万円(100万円以上の年収アップ)の仕事に転職することに成功しました。
そして入社後の昇給により、目標としていた年収600万円を突破。
昇給までに少し時間がかかったので既に30歳は超えていましたが、それでもなんとか600万円を突破できたことは達成感と同時に「ある程度余裕を持った暮らしができるようになった」という安堵感をもたらしてくれました。
年収600万円に到達して変わったこと
体感としては、年収600万円を超えてくると独身であればそれなりに生活に余裕が出てくるようになります。
額面で年収600万円だと手取り換算では約470万円。
月額平均で約39万円、家賃を10万円だとすると約29万円が自分で自由に使えるお金となります。
・結婚をしていなければ生活に困ることはなくなる
・1000円以下の買い物であれば値段を気にしなくなる
・コンビニで500円以上の弁当も気にせず買えるようになる
・飲み会で5000円支払ってもまあ許容できるようになる
一方で東京都内で暮らしていると、600万円では完全には満足できません。
特に将来のことを考えると不安が残ります。
・都内で家を買うのは難しいと感じる
・独身ならいいが結婚して子供が欲しいとなると今の年収は心許ない
将来のことを考えると不安は残りますが、個人的には年収600万円を超えるとだいぶ幸福度は上がりました。
第三目標は父親の年収
第三の目標になったのは、自分の父親の想定年収=年収1000万円です。
”想定”と書いているのは、実は自分の父親の年収が実際いくらだったのかは今でも知らないためです。
何かのタイミングで伝え聞いた金額がこの年収で、実際にそれ以上かそれ以下かは実は定かではありません。
ただ、年収1000万円という金額は、「1000万円プレイヤー」「年収が1本を超える」など、世間一般的にも高年収としてのわかりやすいベンチマークの一つになっているため、自然とこの金額が目標となりました。
再び転職により目標年収を突破
ITベンチャーが自分に合っていたようで一定のパフォーマンスを上げることに成功し、年収550万円から年収850万円と順調に年収を上げることができました。
しかし年収には満足していたものの、ITベンチャーの働き方に限界を感じるようになってきました。
簡単に言えば激務であり、年齢と共に仕事や会社に求めるものが自分の中で変化してきていたのが、転職のきっかけです。
ただ幸いなことに、20代~30代のキャリアにとってよい時期をITベンチャーという勢いのある業界で過ごすことができたことで、私の市場価値は上がっていました。
結果としては約900万でオファーをもらい転職し、その後の昇給により目標であった1000万円を突破することができました。
今はさらに年収がアップして年収1200万円を突破しています。
年収1000万円に到達して変わったこと
年収1000万は精神的には大きな区切りではありますが、実際の生活レベルとしてはそれほど変わりません。
というのもローンを組んで家は買いやすくなりますが、現在の都内の住宅事情は価格が高騰しているので年収1200万程度では都内の一等地に家を購入するのは難しいのが現状です。
今の都内のいいマンションや家に住んでいるのは、投資家、資産家、医者・弁護士などのサラリーマンではない高収入層、サラリーマンであればダブルインカムで稼いでいる人だと思います。
一方で、変わったこともいくつかあります。
仕事内容へのこだわりが強まる
内閣府の調査とシンクロしますが年収1000万円を超えると幸福度があまり変化しなくなります。
年収400万円から年収600万円になったときの200万円と、年収1000万円から年収1200万円になったときの200万円は、同じ200万円という金額ですが(実際は手取りにすると金額は変わりますが)幸福度的には全然大きさが異なります。
そうなってくると、年収を上げることよりも「自分のやりたい仕事をしたい」とより一層強く思うようになりました。
私の場合は、幸いにも元々自分が好きなこと・自分が得意なことを追求してきた結果、年収アップを実現していますが、さらに自分が好きなことにより一層フォーカスしたいと思うようになっています。
投資に目が向き始める
私はサラリーマンが向いていると思っているので独立したりする気はないのですが、サラリーマンとして給料はこれ以上上げるのはなかなか難しいと思い始めています。
そうなるとこれ以上ガムシャラに働くよりは、給料をキープしながら「やりたい仕事」にフォーカスしつつ、給料の代わりに投資をすることで、年収アップの代わりにしようと思っています。
と言っても、ハイリスクハイリターンの投資をすることは、私は性格的にも考えていません。
ある程度の年収でいわゆる”種銭”を獲得している状況にありますので、いわゆる海外インデックス投資信託などローリスクローリターンの投資でも十分でも、それなりのインパクトになります。
新種のストレスの誕生
私のように低年収から年収1000万円を超えるサラリーマンになると、元々の高年収の人たちとの価値観のギャップがストレスになることがあります。
私のまわりの同僚の給与水準はだいたいわかるのですが、同年代の多くの人間が年収1000万円を超えています。
彼らの中には大学卒業当初からかなりの高年収をもらっていた人間や、そうでなくても将来年収が1000万円を超えることはわかっていたような人間がかなり多いので、金銭感覚の違いにギャップを感じることがしばしばです。
たとえば飲み会一つとっても、彼らは平気で1万円以上のお店に行ったりしますが、私はまだ慣れません。
同僚と飲みに行ってもその場は楽しいのですが、会計時に飲み代の高さにゲンナリすることもしばしばです。

幸福度のピークはいつだったか?
私の年収のターニングポイントは紹介してきたとおり、以下の通りです。
① 412万円=平均年収
② 600万円=東京都の平均年収
③ 1000万円=父親の年収
幸福感の右肩あがりのピークはどこだったかと問われると、思い返せば年収800万円位ではないかと思います。
年収800万円がピークの理由
あとから振り返ってみて年収800万円がピークの理由だなと思うのはいくつか理由があります。
・日常生活はかなり余裕が出てくる
・平均年収の2倍に到達するので、高年収と自認できるようになる
・800万円を超えても生活水準はあまり変わらない
内閣府の調査とかなりシンクロする結果となりました。
年収800万円を超えて目標であった年収1000万円を突破し、現在は年収1200万円に到達していますが、正直金銭感覚としては年収800万円代位からほとんど変わっていません。
まとめ
個人的には年収と幸福感の関係について、自分自身の体験談を紹介させていただきました。
年収は幸福度にかなり影響を与える(年収800万円くらいまで)
目標年収を設定すると行動が変わる
年収を上げたいなら、具体的な目標年収を設定することがおすすめ
年収以外に幸福度を見出す必要を感じる
お金で幸せは買えないとも言われることもありますが、やはり現代社会を生きるにあたり一定の年収を得ることは幸福度に影響を与えるのは事実だと思います。
そして、年収は若いほうが圧倒的に上げやすいので、まずは長い人生を考えて年収を上げることにしっかりと向き合うことを私はおすすめしたいです。
私自身は、20代の後半まで年収を上げることに無頓着だったので、もう少しで手遅れになるところだったと思います。
年収は能力よりも、業界や企業によって決まる
年収を本気でアップさせたいのであれば、このことをぜひ肝に銘じることをオススメします。